
ジオウ劇場版に登場の「仮面ノリダー」とは? とんねるず木梨憲武演じるノリダーと東映の軋轢の歴史
2019年7月26日公開の「仮面ライダージオウ」劇場版「Over Quartzer」に、とんねるずの木梨憲武が演じる仮面ノリダーこと木梨猛が出演したことが話題になっています。仮面ノリダーとはそもそも何なのか? その詳細と、東映との軋轢の歴史を振り返ります。
仮面ライダージオウ劇場版に登場! 「仮面ノリダー」とは?
(2019年)7月26日、木梨憲武が、仮面ライダージオウに出演している奥野壮との2ショットを公開した。
木梨は、現在自身のInstagramにて様々な職業の人物になりきった写真を随時公開しているが、この日は「映画男優のお仕事やってみます!」とコメント。
そして「仮面ライダージオウ発注来ました!本日から公開。」「木梨猛+仮面ノリダー!!本編デビュー! #木梨猛変身できないの巻」として、過去に放送されていた番組内のコーナー「仮面ノリダー」のキャラクターに扮した姿で、現在テレビ朝日系で放送中の『仮面ライダージオウ』にて、仮面ライダージオウこと常磐ソウゴを演じる奥野壮とのポーズを撮った2ショットを公開した。
平成の初めに活躍した「もう一人の仮面の戦士」仮面ノリダー
『仮面ノリダー』(かめんノリダー)は、フジテレビ系列のテレビ番組『とんねるずのみなさんのおかげです』にて放送されたコーナードラマ、およびそれに登場するヒーロー。1988年(昭和63年)春の火曜ワイドスペシャル版を経て、レギュラー化した1988年(昭和63年)秋から1990年(平成2年)春まで放送された。特撮番組『仮面ライダーシリーズ』のパロディドラマである。のちに1992年(平成4年)、1993年(平成5年)、1997年(平成9年)にスペシャル版が放映されている。
バラエティ番組・とんねるずのみなさんのおかげです内で放送されたコーナードラマ。
その名の通り仮面ライダーのパロディコントである。子供達を中心に人気を博し、当時社会現象にまでなった。
ライダーへのリスペクトや小ネタが随所にあり、その高いクオリティから今なお根強い人気を誇る。
言ってみれば金と手間と人員を惜しみなくかけた大掛かりな大人の仮面ライダーごっこである。
ライダー直撃世代のとんねるず含め、番組スタッフも仮面ライダーを見て育った世代がやはり多かったらしい。
本家仮面ライダーにおいて現在見ればツッコミ所ある部分を誇張してコメディに昇華させた、といった方が近いか。
しかしパロディコントといっても
・おやっさん役の小林昭二、ナレーションの中江真司と納谷悟朗の起用
・倉田プロモーションの協力による戦闘員(通称ジョッカーのみなさん)の存在、
・サイクロン号に似せた50ccのバイク(木梨が普通自動車免許しか持っていなかったため)で悪路を駆け抜けるオープニング映像
・喫茶店「アミーゴ」での日常パート
・改造人間の悲哀をのぞかせる木梨猛のキャラ
など、本家を意識し、雰囲気をぶち壊さないよう徹底された作りで、初代「仮面ライダー」直撃世代の大人たちや、スーパー1からBLACKまでの空白期間に少年時代を過ごした青年たち、また同時期に放送されていたBLACKの怪奇性についていけなくなった子どもたちをも巻き込み、大人気となった。
平成仮面ライダーシリーズの主要キャストにも、「本家を知らなくてもノリダーならよく見ていた」という人が少なくない。
仮面ノリダー 第01話[非公式] 仮面ノリダー30周年記念 - YouTube
出典:YouTube
「仮面ノリダー」第1話
ソフト化不可能! 東映との軋轢の歴史、そして電撃和解
無断パロディ化による軋轢
本作は本家『仮面ライダーシリーズ』の原作者である石ノ森章太郎(石森プロ)や、制作会社の東映、および製作局である毎日放送に正式な承諾を取らず、無断でパロディ化したため、本家側から抗議を受けた挙句、続編の『仮面ノリダーV2』も含め作品のソフト化を一切禁じられた。
なお、このパロディ化に最も怒りを露わにしていたのが本家・仮面ライダーシリーズ(昭和ライダーシリーズ)の担当プロデューサーであった東映の吉川進で、小学館刊行の『仮面ライダーBLACK・RX超全集』にて「何を作ってもパロディにしてしまう」と、露骨に不快感を示すコメントを出している。
吉川進の見解とその後
一方で本家である仮面ライダーシリーズを「作る側」であった東映プロデューサー陣、特に当時においてライダーシリーズを担当していた吉川進氏(スーパー戦隊、メタルヒーローシリーズの生みの親。ライダーはBLACK~Jまでを担当)は『仮面ノリダー』に対して強い不快感を抱いていたとされ、関連書籍やインタビューで「昨今のスーパーヒーローのギャグ・パロディ化はヒーローの否定につながります。高倉健やクリント・イーストウッドと、とんねるずは同居できないのです」と相容れないものとして名指しで強く批判している(一方で、『仮面ライダーBLACK』で主演を務めた倉田てつを氏は、『ノリダー』側のオファーに「大好きだから出たい」とプロデューサーにまで懇願したものの、OKが出ず断念した、と後年のインタビューで語っている。実際、撮影現場で「ノリダー」の言葉は禁句だったとのこと)。
石ノ森章太郎からの容認
原作者・石ノ森としては容認の姿勢を示していた。もともと石ノ森は、自身が関与した特撮作品を漫画化する際(石森プロ系の漫画家による代筆も含む)、原作に則ったハードな作品とは別に、『ひみつ戦隊ゴレンジャーごっこ』『宇宙鉄人ジョーダイン』など、ギャグ漫画としてセルフパロディ化することもしていたため、もともと抵抗がなかったという。
1989年(昭和64年)に雑誌『TVガイド』にて仮面ノリダーの特集が組まれた際にもインタビューに応じ、「横澤(彪)さんに『いつも仮面ノリダーを楽しく見てます。ありがとうございます』と、先日電話をしました」と、容認を示すコメントをしていた。
2013年には東映が「仮面ノリダー」の商標を登録
その後、2007年(平成19年)9月27日放送の『とんねるずのみなさんのおかげでした』特番において放送された「もう一度みたい仮面ノリダーベスト10」において、初めて「協力:石森プロ・東映」のクレジットが表示された。
さらに、2013年には東映が正式に『仮面ノリダー』の商標登録を行った。
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出典:劇場版 仮面ライダージオウ「OverQuartzer」サプライズ登場ライダーは誰? 仮面ノリダー木梨猛ほか秘密ゲストを紹介 | 特撮ヒーローインフォ
ジオウ劇場版にサプライズ登場したライダーの詳細を解説
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仮面ノリダーとはそもそも何なのか? 仮面ライダーシリーズとはどういう関係なのか? 気になる方のためにサクッと振り返ってみましょう。